Prologue
放射線科医の仕事内容は一般的にはあまり知られていません。
画像診断をしている診療科、画像を撮影する診療科などの印象を持たれている方が多いのではないでしょうか。
それらの印象は必ずしも間違っているものではありませんが、私たちの仕事は画像だけを扱っているわけではなく、私たちが活躍することで病院の中央診療部門の底上げを図ることができるものと考えています。
例えば、私たちの仕事の一部に「読影」という業務があります。
文字通り、画像を読む仕事ですが、画像を読影して何かしらの結果を返すという単純なものではありません。
依頼医が画像診断に求めているものに応えることが「読影」の重要な役割です。時には依頼医の意図していない異常を指摘できるときもありますし、「読影」の結果、治療方針が大きく変わることもあります。
それは患者さんにとっても適切な治療が受けられることにつながります。
このように放射線科医が適切に仕事をこなすことで病院の診療に大きく貢献できるのです。
私たちの行う「治療」には放射線を照射することで病気の治療を行う放射線治療、放射線で体内を透視してカテーテルを用いて治療するIVRなどがあり、放射線を手段として用いて治療を行っています。
テクノロジーの進化は医療業界も例外ではありません。
放射線機器装置は日々進歩しています。
しかし、その進化と伴走できるほどのマンパワーが今の放射線科には不足しているのです。
放射線科では、あなたの「なりたい将来像」を実現できる可能性があります。
中でも、私たち大分大学放射線医学講座はこれまで、特にIVR(血管内治療)に力を注いできました。今では県内屈指の症例があり、対人口比では全国的にも多い実績があります。
また、放射線治療の分野では固形がんの根治を目指して治療を行っています。患者さんの身体的負担を軽減する緩和治療も行っています。
このように放射線科医は現在、診断から治療まで多くの患者さんと関わりを持っています。
今後はさらに画像診断のニーズが増えてくることが予想され、詳細な情報を得ようとすればそれだけ撮像法や画像データも増加します。
ここでマンパワーが不足しがちになってしまうのが、放射線科の現状の課題といえます。
とはいえ、放射線機器が進歩し、データサイエンスに注目が集まると、「これからメディカルデータが発達していくのなら、放射線科医は必要なくなるんじゃないか」と思われがちです。
もしかしたら、放射線科の医師としての将来性に疑問や不安を抱いている方もいるかもしれません。
また、「AIが病理診断をしてくれるようになるのではないか」といった、仮想診断の仕組みができあがる想像をしている人もいるかもしれませんね。
確かに、医療分野でもAIの活用が進みつつあります。
ただ、これまでの無数の画像データを元にして、すぐに画像診断が実用化されるか…といえば、そう簡単に進まない現実の問題がたくさんあります。
もちろん、人口減少や医師不足といった現実社会の問題もあって、これまで以上に高度化、効率化や簡略化が進んでいくでしょう。
しかしそれによって、放射線科医が不要になることはありません。
むしろAIを積極的に取り入れて、補助的な役割をAIにさせればより効率化が期待できます。
全身医療(診断)を自分のスキルにしたい方。
最先端医療の現場で、患者さんにとって負担の少ない治療を志している方。
これからの地域・遠隔医療の軸を支えていきたい方。
自分らしく、専門領域を極めていきたい方。
放射線科のこれまでの症例と、最新の放射線機器装置を活かして、
「次世代の医療」へ共に歩んでいきましょう。
学生のみなさんにとって、放射線科は医師としてのイメージが伝わりづらいところもあるかもしれません。
是非一度、私たち大分大学放射線医学講座に見学に来てみてください。
そして、科の雰囲気や情報共有の現場を感じてください。
このメッセージを読んでくれたあなたが、放射線科に入局してくれる日を楽しみにしています。