大地 克樹
入局6年目 1年前に放射線診断専門医認定
今年、放射線科診断専門医となった先生に毎日の業務内容やとりくみ、仕事に対する姿勢などをうかがいました。
「こんなふうに仕事するんだな」とイメージが湧いた
放射線科に入局したきっかけを教えてください
大学4年生の時に、研究室配属でたまたま放射線科を選んだのがきっかけですね。
それまで、特に希望する科はありませんでした。
3年生あたりで臨床の勉強が始まってから、ひととおり学びはしましたけど、やっぱり「現場のドクター」っていうイメージがあまり湧かないんですよね。
配属も、どこにしようか迷っていました。正直にいうと、学生の時は画像に対して苦手意識があって。素人目線とさほど変わらないんじゃないかというほどで(笑)。
だから、「少しでも苦手意識がなくなればいいかな」という感じでした。
臨床の先生に触れたのは放射線科が初めてだったので、「こんなふうに仕事するんだな」とイメージが湧いたのも、自分の中では大きかったですかね。
先生方にも好意にしてもらいましたし、学生6年目に一応「(放射線科に)行きます」と言いました。
どんな仕事をしているのですか?
放射線科の仕事は、読影が主ですが、CTやMRIの現場について画像の読影・診断をします。
大学では、1週間の予定が前週末に出て、おおまかに午前と午後に分けて割り振りがされます。これは大学病院ならではでしょうね。
IVRは定例で週2回(月・木)入ります。実績は多いと思いますよ。ルーティーンでステンドグラフトメンバーとしてやらせてもらっています。
それ以外に、別の症例もたまに入ります。緊急対応は、基本的に手がすいている人が入りますね。
週に何度か、午前または午後に、他の提携病院に直接出向いて外勤をすることもあります。
十八番のCT診断で主治医や当直の先生をバックアップできる。
放射線科を選んでよかったと思うことはありますか?
私は、読影だけでなく手技をしたいと思っていて、研修医の当時からIVRに積極的に入れてもらっていました。
IVRでは治療にかかわる機会があるので、患者さんからの感謝の言葉をもらえると、やっぱりうれしいです。
専門医になって、自分1人で診断レポートが書けるようになってから、読影が楽しくなってきました。
もちろん責任は増しますが、自分が「ちゃんと仕事をしている」という実感が湧きますね。やりがいがあります。「認定までの5年間を我慢して、ようやく専門医になったぞ」という感じです。
外勤や1人当直の時、救急で来た患者さんの容態を全身診ることができるのは、放射線科医の強みでしょうね。
主治医や当直の先生が、検査で診断をつけることができればいいのですが、、オンコールがかかってきて「CT撮ったけどよく分からないから来て」と言われることはよくありますし。原因がどうしても分からない時には、十八番のCTで診断ができますから。
早期診断につながりますし、結果として、患者さんの負担も減らすことになるので、全身を診られるのは良いですよね。
現場での場数、手技がものを言う世界。
仕事とプライベートのバランスは?
病棟に自分の患者さんが入院していれば、様子を見に出勤します。その流れで、残っている仕事や別の仕事をしたりもします。
患者さんがいなければ、週末に様子を見にいくこともありませんし、土日単体の仕事もありません。自分の残っている仕事次第でしょうね。
病棟の業務自体は、他の科と比べてそれほど多くないと思います。病床も少ないですしね。
うちには小さい子どもがいるので(取材時点:1歳4ヶ月)、休日は基本的に家で過ごします。学会シーズンはwebセミナーを視聴したりもしますが、基本的には家で仕事にまつわることはしていません。
後進育成に力を入れていきたい。
心がけていることや今後のビジョンを聞かせてください
「楽しく仕事をする!」ですね。専門医になってからできることも増えますし、今は仕事が楽しいです。
医師は、どこかで楽しみがないと続けられないと思うんです。
私は今、楽しくやれているので、自分に合っているのだと思うし選んで良かったと思います。
それから、仕事を教えられる立場になったので、自分がしっかりと頑張って、入ってくれた人にその頑張りを引き継いでもらえたらいいなと思っています。
画像を撮る数に比べると、放射線科医は圧倒的に少ないですからね。
医局や業務のイメージが湧きにくいでしょうが、入ってからわかることもたくさんありますし。放射線科の後進育成のためにも、頑張っていきたいと思っています。
全身を診たいなら放射線科へ
放射線科医を目指す学生さんへ
個人的に、今の研修医制度はとても良いと思っています。2年の間に、自分でいろんな経験してから入局できますからね。
入局したいと思っている科があったとしても、イメージと違った場合は無理せずに変更していいと思います。
学生の時に好意にしている先生もいるかもしれませんが、じっくり悩んで、しっかり考えて自分に合っている科を決める方がいいですよね。
「どの科を選ぼうか」と決められない学生さんもいると思います。
他の科は臓器単位で分かれるけれど、私は1つの科(臓器)に絞れず、全身を診たかったので放射線科を選びました。
放射線科にはバリエーションがたくさんあって、どの臓器でもまんべんなく診れます。
しかも、決して専門性が低いわけではなくて、全身を診れるようになる上に専門性も高められるというメリットがあります。
未来の放射線科医に先輩からのひとこと
次世代の全身医療を、
ぜひ私たちと一緒に支えて行きましょう!